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2006年10月21日 (土)

曹長殿

10月下旬。また曹長殿の命日がやって来る。曹長殿は私に
「戦争」というものを教えてくれた人だった。私は彼の自伝
を聞き書き・編集する為に、1年半程濃い時間を共にした。
その間、手榴弾による魚の採り方、麻薬を密輸入する方法、
野戦(銃撃戦)の時の心得など、さまざまな事を教わった。
 曹長殿は3度応召された。職業軍人ではない。最初は満州の
関東軍独立守備隊。2度目は昭和16年、日本軍が真珠湾攻撃
と同時にフィリピンやシンガポールなどを攻撃した際の、香港
攻略戦に参戦。香港島の大英帝国ビクトリア要塞を陥落させる
べく、九龍半島から夜間の敵前上陸を敢行したのだった。
 日本軍は海上から要塞に向けて、砲艦嵯峨・橋立・宇治など
による艦砲射撃。九龍側から重砲・野砲をどっかん・どっかん
間断なく砲撃。イギリス軍もビクトリア要塞砲などを撃ち返す
大砲撃戦。真っ暗な海で、木の葉の如く揺れる上陸用舟艇。
兵員は頭に鉄兜。手に歩兵銃。弾丸240発。手榴弾数発。
食料等60キロの荷を背負う。落ちれば死ぬ。
「いやぁー、花火大会みたいだった・・・」
と曹長殿。
「はっ・・花火大会ですか・・・」
大抵の事では驚かない私も、この言葉には絶句した。

 昭和19年、3度目の応召で中国・広東へ。1個小隊で
中国軍1個旅団を撤退させるなどの武勲をあげる。この時
の取材は、蔵王山麓にある曹長殿の別荘に泊り込んで行った。
 ある夜、別室で寝ていた曹長殿は、悲鳴とも絶叫とも
つかぬ、恐怖の声をあげていた。悪夢にうなされたらしかった。
その声が私に、本当の「戦争」を教えてくれた。この、地獄の
底から聞こえてきたような叫びの、数千万倍の絶叫が、
太平洋戦争なのだと、リアルに伝わってきた。

 現在、ニュースで「戦争・戦争」とお手軽に言葉が飛び交って
いるが、その度にあの夜の絶叫を思い出す。
 

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