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2006年8月 2日 (水)

追悼・吉村昭

私が最も敬愛する作家の一人である、吉村昭が亡くなった。

79歳・・・合掌・・・氏の作品で最初に読んだのは「戦艦武蔵」

歴史小説としてではなく、調べて書くノンフィクションの代表作

として読んだのだった。紹介者は沢木耕太郎だった。

 日本帝国海軍が不沈戦艦として建造した、1号艦「大和」と

2号艦「武蔵」。人間が膨大な労力と情熱を費やして建造され、

ブラックホールに吸い込まれるように虚しく崩壊してゆく武蔵。

そして、この小説の創造プロセスを書いた「戦艦武蔵ノート」

は、今でも座右の教科書である。

 胃カメラ開発を描き、後に「プロジェクトX」でも放映された

「光る壁画」。解体新書の翻訳を成し遂げた前野良沢を題材

にした「冬の鷹」、映画化された「漂流」など、書きたい事は山

ほどある。だがあまりにも作品数が多すぎる。再読しながら、

「今昔玉手箱4」に取り上げてゆく事にしよう。

 日露戦争・日本海海戦を、バルチック艦隊の視線から描いた

「海の史劇」の冒頭・・・「明治37年9月5日━フィンランド湾の

奥深くに設けられたロシア最大の軍港クロンスタット港の海岸は、

ひしめき合う群集で埋められていた。~頭上には北国らしい澄み

きった青空がひろがり、海上を渡ってくる風は肌寒かった。」

当日の天気や気温まで調べていないと書けない文章なのである。

駆け出しのライターとして勉強中だった私は、この冒頭の一文に

打ちのめされ、激しく動揺したのだった。

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コメント

興味はありつつも未読の作家さんでした。

母方の本家とちょっとつながりがあったようで、
小説好きの伯母などが入れ込んでおり、
じかにお目にかかったこともあったようです。

合掌です。

図書館に全集がありますから、この機会に
どっぷりと「渋い」吉村ワールドに浸って
みてはいかがでしょうか?

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